五十嵐大輔

2020年11月28日4 分

東京都4ヶ月転出超過は地方回帰なのか?

最終更新: 2020年11月30日

みなさま、こんにちは。DSKです。

総務省が26日に発表した10月の住民基本台帳人口移動報告で、東京都からの転出者数が転入者数を2715人上回り、4カ月連続で転出超過となった。

コロナ禍のテレワークで地方移住する人も増えましたが、このまま地方回帰が進むのでしょうか?

問題にもなっている東京一極化はどうなっていくのか。

テレワークで地方移住は思ったほど進んでいない

コロナ禍で東京にいることの不安やテレワークの普及により、都心ではなく地方に移住する計画を立てた人は多かったかも知れません。

不動産物件サイトや地方の情報サイトなどを回り、計画のための情報を集める人も増えました。

地方移住に関心を持つ人が増えるのは政府にとってもありがたいことでした。

現在の東京一極化に問題意識もあり、地方再生を進めたいが糸口の見つからなかった政府にとって光明がさしたことでしょう。

ですが、実際の状況はと言うと、通勤圏の郊外物件が売れたり、東京周辺県の転入が増えたと言うものでした。

もちろん、メディアでも話題になるように地方移住する人が増えたのは言うまでもありません。

ただ、政府の思惑通りの結果は得られていません。

それには、いくつか考えられる理由があります。

限定的なテレワーク普及

テレワークと言っても、全ての企業が一律に行ったわけではありません。

もちろん、一部の企業は積極的にテレワークを導入し、出勤が要らなくなった方も大勢います。

しかし、多くの多くの企業において「一部の業務の出社日数を減らす」程度のものでした。

人材管理システムを提供するカオナビの8月の調査では、毎日テレワークを行っていた人が7.5%、逆に毎日出社していた人が73.6%でした。

つまり、多くの人はテレワークが導入されたとしても出社の必要性があるのです。

そのような状況下では、いくらテレワークが導入されたと言っても地方に移住することは困難です。

働く側がもっとテレワーク導入を強く訴えるべきという声もありますが、完全なテレワークを望む声もそんなに多くはありません。

緊急事態宣言の際にテレワークを実践したことで、テレワークのデメリットも感じた人も多くいました。

そのため、完全テレワークより出社がある方が良いと言う意見も多くあるのです。

田舎暮らしのイメージとギャップ

また地方移住を計画する人のイメージと実際とのギャップも理由の1つだと考えられます。

地方移住を計画する人の多くは、自然豊かな地域でのびのびと暮らすというイメージがありますが、多くはそんなに良いものではありません。

交通機関が不十分だったり、店や施設が少ないなど、東京では当たり前だったサービスがなく不便だと感じる人が多くいます。

学校や教育機関が少なく通うことが困難だったり、将来の進学先が狭まると言う意見もあります。

また地方では、地方独特の風習や人間関係が問題にもなります。

私の知人でも「今の仕事を辞めても、絶対に田舎には帰りたくない」と言う人が一定数います。

決して「地方が悪い」「東京が良い」と言うわけではありません。

東京が合う人、地方が合う人、さらには地方によって合う合わないがあります。

それを考慮せずイメージだけ先行したのでは、ギャップで諦めることは多いでしょう。

転出超過は失業による帰省の可能性も?

将来的には分かりませんが、このように現状はすぐに地方移住が進むとは思えません。

地方再生のためには本格的な政府の介入が必要でしょう。

「それでも東京の転出は増えている」という事実があります。

そうなると、ある可能性が出てきます。

それは「みんな望んで転出した人なのか」です。

東京は日本経済の中心で雇用も他に比べて多いです。

当然、コロナ禍の影響も大きかったでしょう。

その影響を受けた方、特に大学生や若年層の生活が厳しくなり、一時的に実家に戻った可能性はないでしょうか。

そうであれば、地方移住という話でなく、日本経済がそれだけ悪いという話になります。

あくまで可能性ではありますが、単純な転入転出だけでなく、総合的な分析、判断が必要でしょう。

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