今年(2020年)5月29日に年金改正法案が成立により、年金受給開始年齢を75歳まで繰り下げることが可能になります。
65歳から受け取る場合と比較して、1年あたり84%も年金受給額が増えることになります。
84%も増えるなら引き下げても良いな。と感じた人もいると思います。
ですが、実際はどうなのでしょうか。
平均寿命で見る損得
現在、満額を納めて65才から受け取ると月64,941円。
これを75才から受給とすると月119,491円となります。
ではこれらを平均寿命まで受け取ると
男性81歳
65才から16年まで→約1247万
75才から6年まで→約860万
女性87才
65才から22年→約1714万
75才から12年→約1720万
平均寿命で考えると、男性は65才から受け取った方がお得ですね。
女性の場合は平均寿命まで生きれば得になります。
収入が増えれば、手取り金額も増える
75才から受け取っても、87才まで生きれば得することが分かりましたが、年金額は額面であり、そこから健康保険料や税金がかかります。
現役時代と同じ様に収入によって税率や控除も変わってきます。
繰り下げを行って収入を増やした分、取られていく金額も大きくなります。
そうなれば必然的に、繰り下げの割合も89%増とは言えないでしょう。
つまり、87才時点でも繰り下げの方が少ないという状態になります。
女性は90台まで生きている方が割と多いですが、男性の方は少ないので、年金は65才からの方が良いでしょう。
歳を取るほど支出も少なくなる
それでも、自分は長生きするから75才からが良いという人もいるかと思います。
ですが長生きする人も65才から受け取った方が良いでしょう。
それは、支出の度合いが違うということです。
最近の高齢者は元気ですが、それでも65才と75才ではやれることが変わってきます。
旅行にしても外食にしても、歳を取るほど回数や量は減っていきます。
また、買うものも少なくなってきますし、生活全般の支出も少なくなります。
もちろん、医療費などの心配もありますが、後期高齢者は負担割合が少ないですし、高額療養費の上限も低いです。
総合して考えると、少しでも若いうちから受給しておいた方が有意義な支出になるでしょう。
未来はどうなるかわからない
75才まで繰り下げられる様になったことにより、収入が増えると感じますが、多くの方の場合は65才から受け取った方が使えるお金は多くなります。
また、同じお金でも体が動きやすい60代で受け取った方が、自身の心を充実させるものに使いやすいでしょう。
もちろん、感覚は人それぞれですし、すごく長生きする人もいるので、必ずしも65才の方が正しいというわけではありません。
また、今のまま年金額の水準が保たれるとも限りません。
おそらく減っていくと考えた方が良いでしょう。
年金だけに頼るのではなく、国に左右されない私的年金を築いていくことも大切になります。
国の言うままに「84%も増えるなんてお得だ」となるのではなく、自分なりに計算し老後資金を考えていきましょう。
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